コーヒーに秘められた底力

「薬食同源」の教え


  豆をいって、その抽出液を飲むという現在と同様の方法でコーヒーが飲まれるようになったのは15世紀の後半、はじめに飲用したのは、イスラムの僧侶たちだったといわれています。コーヒーは当初からその薬効が注目されており、眠気覚ましや活力を生み出す秘薬として愛飲されていました。長時間、夜通しでアラーへの祈りを捧げるイスラムの僧侶たちにとって、格好の飲み物だったわけです。

 江戸時代の後期にオランダから日本にコーヒーが伝えられたときも、その薬効が注目されていたようです。コーヒーの健胃作用や利尿作用、覚醒作用につてい書かれた文献が残されています。

 コーヒーは古くからその薬効が注目され、古今東西で愛飲されてきたわけですが、現代では科学的な研究が進み、さまざまなことが明らかになっています。数十年前までは、「コーヒーを飲むとガンになる」、「コーヒーには中毒性がある」などといわれ、ネガティブなイメージが先行している感じがありましたが、現在ではむしろ、健康を維持するための食品として見られるようになっています。

 漢方の世界では「薬食同源」ということばが使われます。「薬」も「食」も源は同じ、天然のものに源があるという意味で、「健康を保つためには毎日の食生活が大切である」ということを説いたものです。コーヒーも毎日の「食」となり、健康を保つ上での「薬」としての意味を持っています。人生の楽しみの重要な要素である食を健康維持のために役立てられるのだとしたら、こんなすてきなことはありませんね。

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